EMG総合法律事務所: 不動産賃貸借Q&A

未払賃料等の金銭債権回収について


 Q 未払賃料等の金銭債権回収手続について教えてください。
   実際に、どのような手続きを取って、どの位の期間や費用がかかるのでしょうか?


 A 一般的に、大家さんが弁護士に対して事件を依頼されるとき、すでに相手方(賃借人や連帯保証人)は任意に債務を履行しないような状況にあります。
 そのようなとき、通常、建物明渡請求と未払賃料請求を一緒に提訴します。
 金銭債権については、賃借人のみならず連帯保証人に対しても請求(提訴)します。
   
 裁判所から被告らに訴状が届くと、素直に(任意に)支払ってくれる債務者も中には存在します。
 しかし、多くの場合、素直に支払ってきません(「支払いたくてもお金がない」というケースも多いのです)。
 そのような場合、訴訟手続きで、判決や和解調書(分割払いの和解)を得ることになります。
   
 その後、判決や和解調書に記載されているとおり履行されればよいのですが、往々にして、そのとおりには履行されません。
 そのようなとき、判決や和解調書をもとに強制執行することになります。
 債権回収を目的とした執行手続として、不動産執行、動産執行、債権執行があります。債務者が有する財産・資産によって、選択する執行手続は異なります。
   
 多くの大家さんは、賃借人や連帯保証人の勤務先を把握されているようです。
 そこで、選択されることが多い給料債権差押手続きについて説明しましょう。
 これは、債務者が勤務先(第三債務者)に対して有する給料債権を差し押さえて、その差押債権を債権者が第三債務者から取り立てる手続きです。

 まず、債権差押命令を申し立てることから始まりますが、その前に、執行文付与や送達証明書を得ておく必要があります。
 そして、債権差押命令申立ての際には請求債権を確定し、差押債権を特定します。請求債権には執行費用を含めます。

 イメージをつかんでいただくために、請求債権が50万円で、給料手取りが毎月40万円であるケース(ただし、債権者の競合がないケース)で考えてみましょう。

 このケースでは、概ね毎月10万円(40万円の「4分の1」)を、債権者は第三債務者から取り立てることができます。したがって、50万円の回収には5か月を要することになります。
 ちなみに、実費としては、申立書貼付印紙代や送達費用(郵便切手代)等がかかります(1万円程度)。この費用のほとんどは執行費用として請求債権に含めることになります。
 弁護士費用としては、回収報酬金として回収金(取立金)の20%(税別)となります。
 回収金がゼロの場合には回収報酬金もゼロとなります。

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